スイス

アルレスハイム村
空の色がベルリンから少し南に行っただけで、くっきり、濃い。気温も少しだけ暖かい。
そしてどこもかしこもきれい。
スイスで有名なのは、犬のフン用にところどころに緑色のゴミ箱とその横に黒いビニール袋がぶら下がっていること。
目に見えない精がいて、ほうきとちりとりで、そこらじゅうの自然を掃除しているに違いありません。
でも、愛想がよくて、ベルリンから行くと天国みたいです。ベルリンは愛想がよくないなあ、買い物しているのに、ちょっと聞いただけなのに、つっけんどんに言われちゃうことばかり。住んでいるのが東だからかな? ま、そんなの気にしてたら生きてけないや。
スイスは違う。とにかくお店の人は愛想がよい。当たり前なのに、うれしくてしょうがない。
それはでもドイツの人に言わせると、スイス人の商売根性だそうだ。
そうかも。でもそれでも、ベルリンから行くとうれしい。

私の学んだのはアルレスハイムの隣にあるドルナッハという村ですが、そこはカントンという行政区域が異なります。バーゼルランドと、ソロトン。カトリックの休日だと、カトリックのバーゼルランドでは(あれ、逆かな?)スーパーが休みで、ソロトンのドルナッハは開いているとか、ありました。徒歩10分もかからない隣の村で、この違いがおもしろかったですね。
この教会は、アルレスハイム村のものです。オディリエという聖人(女性)をまつっているようです。
オディリエは眼が見えず、父のエティホ に追われ、逃げてきて、このアルレスハイムの村の裏手にあるエルミタージュと呼ばれる小さな山に逃げてきました。そこで岩が開いて、オディリエを隠してくれたそうです。
こんな道はいかが?
ドルナッハのゲーテアヌムを訪れるとき、いろいろな道があるけど、、森を通って、こんな道が私は好き。
ここには6年弱住んでいたけれど、そのころは忙しくて、近道ばかりしてた。森なんてめんどくさくて、通らなかった。





ゲーテアヌムという建物です。
ここに所属する大学で言語造形を学びました。
面白かったです。
なかなか、得がたい大学生活でした!
おもしろい先生がたくさんいました。今はもう80代になられて引退なさっていますが、
スタジオでは今でもときどき先生方の話をします。
いろいろな教科をあわせて毎日6時間のレッスンがありました。
しかお5名までの少人数のクラスだから密度が濃い濃い。
各自が毎日稽古をして次の日先生に見ていただくのですが、
とても厳しい先生がいました。
忘れられないのは、立って息を吸って一言言い始めた瞬間、
とめられたときのことです。
「あなたはまっすぐ立っていない」
と
直立についてギリシャ時代にまでさかのぼって講義です。
私は詩を朗読しようと立ったまま拝聴していました。
今思うと、日本語で得た直立の姿勢とドイツ語では違うということだったのですが
なかなかそんな丁寧な先生はいなかったですね。
そこまで手取り足取りで教えるのは面倒なんですよね。

遠足

友人と遠足に行きました。
フィアヴァルトシュテッテゼーのそばにあるフリューエレンという村です。
スイスは四国くらいの大きさなので、日帰りでいろいろなところに行かれます。
大学時代はアルバイトと稽古とで、なかなか遠出できませんでした。
やっぱりきれいですね。
菜食主義者というか、デメターというバイオダイナミック農業のものを食している友人と黒パンでチーズのサンドイッチをつくり、ハーブティーをポットにつめて、車で出発です。
私は残念ながら日本ではオートマ車にしか乗っていないので、運転はしませんでした。
だいたいクラッチとか仕組みがどうなってるのかわからないまま、マニュアルの免許を取ったんでした。



この村の上にある山で水晶を見つけるシュトラーラーという職業の二人組みがここで巨大な水晶を見つけたそうです。スイスではけっこう有名な話らしく、ベルリンではまったく聞きませでしたが、教会で展示していました。
見に行きました。1メートル以上ある巨大な水晶で、見ていると、なぜ土の中にこんな透明なものがあるのか、不思議な沈黙と光で満ちていて、なぞで仕方がありませんでした。

フリューレンの駅とその教会です。
湖に面していてこのあたりがウィリアムテルのいた辺りらしいです。
スイスを理解するには、この山々なのかも、と実感しました。
スイスって国は、6年もいたんですが、言語で持っている国ではないんですよね。ドイツ語、フランス語、イタリア語、ロマンス語ですし、なにが国として、この小さな地域を、しかも4つの言語を話す地域をひとつの国としてまとめているのか、不思議でしょうがないのですが、スイスの人たちには至極当たり前で、私の疑問じたいが存在しないみたい。
しかも小国でありながら、強い。
私にとっては、気になる国です。
年をとって、することがなくて、お金があったら、移住したい国です。


ドルナッハはシュタイナー教育などに興味があったり、アントロポゾフィに興味のある人には本場であり、聖地みたいなところですが、駅はこんな感じで殺風景です。私は青春の20台を大半をここですごし、この駅から映画に行ったり、この駅のそばに住んでいる友人がいたので、懐かしい風景です。懐かしいってそれだけで、美しいですね。

バーゼルを流れるライン川。
バーゼルにもよく遊びに行きました。映画、演劇、買い物、恋。
10年以上も前の土地というのは、懐かしいという気持ちが起こらない。道は全部知っているのに、もう知らない街のような雰囲気で、なんだか変な感じがしました。

ベルリンに到着。シューネフェルド空港駅です。もう夕方で、うっすらとしていました。
なんだかとってもほっとしました。スイスはきれいだし、学んだ場所だし、行くたびに色濃い体験がありますが、
ベルリンが今の私は好きです。
歴史が爪あとを残していて、人々は苦しくて、貧しい人が隠されていなくて、目に見えて、はっきりしているし、訪れるたびに自分も人生もはっきりしていく、そんな街です。